速【HAYA-I】テンポよく、間を詰めること

書・文 樂篆家 髙橋 政巳
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

“束”(たば)は、木と○印の組み合わせ。雑木を束ねて○型の枠でくくる形。

“束”に“欠”(人が口を開いている形)を組み合わせたのが“欶”(すう)である。

“欶”は、物と物とのあいだが疎(まばら)にならぬよう、力を込めて束ねるときに、激しい息遣いをする形。その急速な息遣いの意味から「はやい・すみやか」の意味となり、“速”はテンポが速く、間を詰めることを表わす。

“辶”(しんにょう)は、“辵”(ちゃく)からなり、

“止”(あし・ゆく・あるく)の古体“”と、

“行”の古体“”の偏である“”の組み合わせで、「行なう」「すすむ」「動く」「行く」の意味に用いる。

 

ちなみに、“早”の「はやい」は、「早計」「早合点」「早朝」「尚早」など、時機・時期の早さを表わす。

さて、「あいつは何をやらせても仕事がはやい」というときには、“早”と“速”のどちらの漢字を用いているだろうか?

書・文
樂篆家
髙橋 政巳(たかはし まさみ)
1947年、福島県生まれ。樂篆倶楽部主宰。刻字家。自身を樂篆家と称し、篆書をはじめとする書を通じ、文字のもつ歴史的意味や美しさの伝承に力を注ぐ。毎日展審査会員、NHK文化センター講師、日本刻字協会常任理事および審査員、会津欣刻会会長を務めた。主な著書に『感じの漢字』『感じる漢字』など。2015年没。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る