宗教学者 島田裕巳の“怒りの研究”

金持ちと貧乏と怒りの連鎖

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とあるイラン人男性が見た、「怒りっぽくなった」人たち

本を読んでいて、こんな箇所にぶつかりました。
「イヴォの人たちはちょっとばかり金持ちになったんで、怒りっぽくなった」というものです。イヴォとは中国浙江省の地名で、中国東部の物流拠点として知られている義烏市のことです。

そう語っているのは、イランの首都・テヘランにある大バザールで、ルーサリーと呼ばれる女性が被る布やショールを扱っている50歳代のイラン人男性です。彼は、2004年頃から商売のために中国へ通うようになり、そこで、中国における物流事情の変貌と、それによって生じた中国の人びとの心の変化に気づいたというわけです。

これは、『「個人主義」大国イラン』という本に出てくる話で、著者の岩﨑葉子さんは、イランのアパレル産業について調査している研究者です。この本自体、日本とはまったく違うイラン人の生き方について教えてくれる興味深い内容なのですが、怒りの研究を進めている私には、冒頭に掲げたフレーズがひどく印象に残りました。

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