ブックレビュー

【書評】清掃はやさしさ 著:新津春子

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だれもやりたがらない仕事に心を込める。清掃、それが新津さんの仕事である。仕事場は羽田空港、世界一清潔な空港と称されている。

中国残留日本人孤児2世で1987年に17歳で来日した。生きるための仕事が清掃だった。いじめに苦しみ、人に負けない力を得ようと清掃の腕を磨いた。挑んだ技能競技会で上司に指摘された。「君にはやさしさが足りない」――。

やさしさの特訓がはじまる。トイレや通路では「どうぞ」と声を掛けて譲ること。それも笑顔でだ。笑顔の練習で鏡に向かい何度ほほえみかけたことか。仕事の時の動作、所作も周囲を気遣うように心掛けた。時には迷った利用客のために仕事を中断し、案内人にもなる。

新津さんの仕事ぶりが問いかける。仕事の原点とは何か。

〈書籍情報〉
清掃はやさしさ
著者:新津春子
出版社:ポプラ社
定価:本体1,400円+税
発行日:2016年3月14日
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