ブックレビュー

【書評】誰でもわかる維摩経 著:菅沼晃

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維摩(ゆいま)。在家として日常生活の中で仏道修行に励む、商家の主である。老若男女、誰とでも仲良くでき、悪人とも交わり仏道に招き入れてしまう。よく人に施し、見返りなどは求めない。そんな維摩を畏怖する者たちがいた。お釈迦さまの十大弟子である。

ある日、お釈迦さまは病床に伏した維摩を見舞うよう、弟子たちに命じる。釈尊にも教えにも従順な弟子たちも、この命には尻込みしてしまう。そこには、維摩にやり込められた苦い思い出があったからだ。

すべての人が仏になれると大乗仏教は説く。維摩経では、自分の救われだけを求める十大弟子の偏った見方を、維摩が正していく様子が綴られる。最後に遣わされたのは、智慧の菩薩・文殊――二人の対論に、現代人にも通じる人間の生き方が語られる。

〈書籍情報〉
誰でもわかる維摩経
著者:菅沼晃
出版社:大法輪閣
定価:本体1900円+税
発行日:2011年6月10日
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