ブッダの国・インド

人生の晩年に出家する人たち

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私の知り合いに、有名な世界遺産・タージマハールのあるアグラという町に住んでいる人がいました。彼は、高級な大理石を販売する店を経営していて、たいへんなお金持ちでした。

彼が晩年になったあるとき、何もかも捨てて森に入ってしまいました。文字どおり、出家したのです。そしていま、マトゥラーという聖地で小さな小屋に住んで、祈りの日々を送っています。持ち物といえば、衣と杖とサンダルくらいのものです。まったくの無一物です。

インドでは、出家者が神さまのそばで過ごすことができる施設(アシュラム)がたくさんあります。どんな人でも泊まれますし、食事もできます。いっさいお金はかかりません。

またインドの家庭は、出家者であれば、もてなさなければなりません。それは義務であり、功徳を積むことになるのです。そういう社会の仕組みや、人々の意識がきちんとあるので、出家者は安心して遊行ができるわけです。

「どこから来たのか。何をやってきたのか。どんな人か」―そんなことは、いっさい関係ありません。出家者は等しく尊ばれるのです。

マルカス
アサヒトラベルサービス代表取締役・SBI大学院大学講師
インド・デリー生まれ。インド国立デリー大学卒。アサヒトラベルサービス設立。立川談志に入門し、立川談デリーとしても活躍。インド料理店・ブカラをオープン。著書に『インド流!マルカスが紹介するお釈迦様の国』(サンガ)。
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