インタビュー

「攻めの養生」で最後まで輝かせる人生 帯津三敬病院名誉院長 帯津良一

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無理をしないで持続していく

○食の養生
益軒は、好きなものは薬になるから少しだけ食べよと言っています。

自分がそのときに食べたいと思うものが、体が最も要求している栄養素なので、腹八分目に食べるのが好ましいのです。

基本的には、大地の気を受けた植物性のものを主とし、旬の食材をいただきましょう。とくに、発芽したばかりのものは大地のエネルギーがあります。

また、食材の良さに加味して大切なのは「おいしい!」と喜びをもって食べることです。ときめきや感謝の気持ちをもちながらいただくと、免疫力が高まります。私は、初ガツオや秋のサンマ、採れたてのソラマメを食べるとき、ちょっとドキドキします。

一方、疲れたときは、ステーキを食べると元気が出るという人が少なくありません。昔から、肉は体を温める作用があるため、体力回復の妙味として食されてきました。肉が大好きな人は、生きている楽しみのために、満を持して、ときめいて食べる程度にするといいと思います。

太極拳

帯津さんが気功と出会って、30年余り。なかでも好きなのが太極拳。

○運動の養生
益軒は人間の身体を木の桶に例えて次のように述べています。「木の桶を大切にするあまり、床の間などに飾っておくとひび割れ、長持ちしなくなる。毎日せっせと使って磨くほうが丈夫だ」と。身体は常々、動かしておくものなのですね。

とくに人間は歳をとると足腰の筋肉が衰えてきます。一人で歩くことができなくなれば、生活面でも非常に制約がでてくるわけです。

以前、五木寛之さんとの対談で、「居酒屋に一人で歩いて行けなくなったら、人生がつまらなくなる」と話しました。居酒屋は一人で歩いて、ほろ酔いで帰ってくるから、味わいがあるのですね。

楽しみごとをもち続けていくためにも、普段から体にちょっとした負荷をかけることです。一つには、歩くことを厭(いと)わない習慣をつけましょう。

私も駅のエレベーターやエスカレーターの使用は避け、必ず階段を使うようにしています。

○サプリメントの養生
免疫力が落ちていると感じたら、自分の弱点を補う、という意味で服用するとよいと思います。自分の弱点は、家系的に親や祖父母がどういう病気にかかっていたかを参考にするとよいでしょう。

私の父親は、60歳ぐらいのときに、脳梗塞を患いました。私にも遺伝的に脳梗塞の傾向があるとみて、その弱点を補うために、7、8年前からナットウキナーゼというサプリメントを服用しています。これは、動脈硬化の原因となる物質が血管内にカスのように溜まってくるのを防いでくれるものです。

しかし、自分の弱点を感じない人は、サプリメントを飲む必要はありません。

○気の養生
現代人は常に緊張状態が続いているといわれています。そんなとき、意識してゆったり深い呼吸をして吐く息に集中すると、心身ともにリラックスした状態になります。すると、リンパ球が増えて免疫力が高まり、病気の予防や治癒が早まることが医学的にも実証されています。

できれば、丹田を意識しながら行う丹田呼吸法をおすすめします。丹田はちょうどヘソの下の辺りをいいます。丹田に意識を向けて息をゆっくり吐き、そして、鼻から息を吸います。

私はこの丹田呼吸法を取り入れて、「時空」という気功法をあみ出しました。これは吸う息、吐く息に集中しながら、虚空(宇宙)を感じとるものです。丹田を意識して、虚空を思い浮かべながら、吐く息で体内のエネルギーを虚空に放出し、吸う息で虚空のエネルギーを取り込むようにイメージし、これを20分ほど行います。

気功には、次の効果が表れます。
①がんをはじめ生活習慣病の予防に役立つ②脳を活性化する③血管の流れをよくする④代謝をよくする⑤胃腸を丈夫にする⑥呼吸器を強くする⑦姿勢をよくし、表情をすっきりさせる⑧精神の奥行を深くする。

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何事も無理をしない範囲で、習慣化させるように心がけましょう。

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