“幸せ力”をつける

「幸せ」とは、我を忘れる瞬間 

漫画家 しりあがり寿
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つながりの中にある幸せ

生きるということは、環境とマッチし続けることだと思うんです。
人間でも動物でも必要だと思うんです。マッチするには、自分に合った環境に変えてしまうか、自分が環境に合わせるか、やり方が二つあると思うんですよね。

とくに個人も国も、経済が好調だったり、物質的に豊かなときというのは、ストレスのないように環境の方を変えて人間に合わせることができますよね。
疲れたら車に乗れるし、まずいモノはガマンして食べなくていいし、寂しければネットで友達を作って、嫌いになったら縁を切る。いい悪いは別として、ストレスのない環境をお金の力で作ることが可能だと思うんです。

でも、いまの日本の状況を考えると、これからは、人が環境に合わせて生きていくことが求められる時代なんだろうなと思います。
互いに助け合っていかないと生きていけない、自分勝手もほどほどにしなければならない。人は、一人では生きていけない、そんな当たり前のことを実感することが多くなると思うんです。

国や自治体を頼れないなんてことになったら、やっぱり家族だったり、仲間だったり、身近な人たちと連携せざるを得ないでしょう。
身近にいる仲間と仕事を生みだすとか、数人でパーティーを作って互いに何かをシェアするとか、小さな単位でまとまって支え合うことも、これからは大切な気がするんです。
互いに必要としていること、役に立っていることが目に見えて分かりますから、ストレスもあるだろうけれど、そのぶん、達成感や幸せ感もダイレクトですよね。

いまはネットもあるし、いろいろなつながり方があります。たとえば、都会の3、4人のチームが、田舎の3、4人のチームとつながって、それぞれないものを補い合って生きていく。そうした小さなグループが、さらにつながり合っていくのもいいですよね。仲間と冒険の旅に出るみたいで、いいじゃないですか。
努力と工夫次第なんでしょうけれど、身近にいる仲間や家族、いろいろな出合いや出来事に、我を忘れるような、幸せを味わっていきたいですね。

漫画家
しりあがり寿
1958年、静岡県生まれ。81年、多摩美術大学卒業後、キリンビールに入社。85年、『エレキな春』で漫画家デビュー。94年独立。ギャグ漫画家として注目を浴び、現在は幻想的、文学的な作品も多数発表。エッセイ、映像、アートなど多方面に活躍中。2001年『弥次喜多 in DEEP』で、第5回手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞するなど受賞作品多数。代表作に『ヒゲのOL籔内笹子』、朝日新聞夕刊に連載中の『地球防衛家のヒトビト』など。
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