働く者を幸せにする経営

株式会社ラッシュジャパン 「マイノリティが幸せな会社は、マジョリティも幸せ」

監修=前野隆司 取材・文=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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働き方改革が叫ばれる中、ブラック企業の対極にある「ホワイト企業」が注目されている。
社員の幸せや生きがい、社会への貢献を第一に考える企業だ。
「そんな会社、ほんとうにあるの?」。そう思う方はぜひお読みいただきたい。

第1回は、バス製品やコスメティックを扱う「LUSH」を紹介する。
「働く人がハッピーであること」を大切にしているという同社が取り入れた制度とは――?

 

マイノリティの幸せが、経営を強くする

いち早く『同性パートナー登録制度』を導入

原宿や新宿といったファッションタウン、あるいはショッピングモールでなんともいえないいい香りが漂ってきたら、周囲を見渡してみてほしい。グリーンの地に鮮やかなイエローで『Lush(ラッシュ)』の文字を掲げたショップが、きっと目に入るはずだ。

1980年代後半、イギリスの小さな港町ドーセットで、マーク・コンスタンティンをはじめとする複数の創立者によって通信販売のサービス、コスメティクス・トゥ・ゴーとして誕生したが間も無く倒産。1994年よりラッシュという新たなブランドとして創業した。天然成分を使ったバス用品や化粧品を扱うコスメティックメーカーで、2018年6月現在、世界48か国に約930店舗を構えるグローバル企業である。

創立当初より、商品開発のための動物実験反対を表明、原材料の取引にも環境、動物、人に配慮した独自の規約を設けるなど独自の路線を打ち出し、この業界では必須であるはずのファッション雑誌での広告すら行わない。広告よりも、店舗を最大のメディアと位置づけるとともに顧客を一人の市民ととらえ、世界中の社会問題等を商品等を通じてを店頭で伝えることで、社会に変化を起こそうという企業なのだ。

入浴料「バスボム」は同社の人気商品

現在も、開封後はゴミとなる商品パッケージの問題から、未来の海洋環境に大きなダメージを与えかねないマイクロプラスティックの問題、スマトラ島での森林保護等々、積極的な問いかけを発信し続けているが、そんなラッシュが行っている〝誰もが働きやすい環境を作り、働くものを幸せにする経営〟の一つが、2015年に施行されたLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の人びとに対しての、『同性パートナー登録制度(トランスジェンダーを含み、生まれた性が同性のケースが対象)』だ。

ラッシュジャパン人事部長の安田雅彦さんに、この制度についてうかがった。
「これは、同性のパートナーを配偶者として申請された場合、結婚祝い金の支給を始め、おもには結婚休暇や慶弔休暇などの休暇について、戸籍上の配偶者がいる社員とまったく同じ福利厚生が保証されるというものです」

パートナー登録により、同性カップルも法律婚カップルと同様の福利厚生が受けられる

最近、日本各地の自治体で、同性カップルをパートナーとして公的に認める〝パートナーシップ制度〟導入が盛んになっているが、ラッシュでの申請には、こうした公的文書の提出は不要だと言う。パートナーであることを保証する人は必要としているが、親族である必要はなく、友人や同僚でも可としている。家族にカミングアウトできていない場合もありえるからだ。

ちなみにパートナー登録すると、国が定めている最低3か月の介護休暇も取ることができ、当時者からは、「この項目がなにより助かる」という声も上がったと言う。

制度がなければ、本人やパートナーの家族になにかあった場合、休みづらく、仕事の継続が不可能になりかねない。制度は確実に、同社で働く当時者のモチベーション低下の防止や、無益な退職を防ぐものとなっている。

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