インタビュー

Thai Life: タイで見つけた気づきの生活(3)

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タイから日本に向けての情報発信

タイ情報、特にスカトー寺で行なわれるパイサーン・ウィサーロ師の説法が音声で無料掲載されるようになり、いつでもどこにいても聞けるようになりました。

このパイサーン師の説法が非常に面白くて、「これは自分の勉強のためにも訳したい」と思い、日本語に翻訳してブログでアップしていったんです。そうしているうちに、少しずつ読んで下さる方が増えてきました。

そして私の中で、研究者として自分の論を立てて論文を書くよりも、お坊さんの説法を直接訳したほうが有意義ではないだろうか、と感じるようになっていきました。

また主人のホームさんも12歳から30歳までの18年間、お坊さんを経験していました。彼はパーリ語にも精通していて、私がわからない言葉などをよく教えてくれます。彼は還俗後も、仏教をベースとした生き方を大事にしている人なので、私にとってもタイ仏教の生き字引きが傍にいてくれる感じです。

子供が生まれ、1歳ちょっとの時でした。「森のニワトリになりたい」と主人が言いました。私たちが大学を辞めるキッカケとなった言葉です。

「森のニワトリになりたい」と仰った旦那さんのホームさんと息子さんの3Gくん(3Gは、ニックネーム)

彼は元々農村の生まれで、自分で食べるものや家などの必要なものは、自分の手で作りたいと考えていました。

彼曰く、「養鶏場で飼われているニワトリと森のニワトリ。養鶏場で飼われているニワトリはエサを与えられ、求められるのは卵を産むことだけ。でも森のニワトリはそうじゃない。放し飼いになっている。彼らは自分でエサを探さければいけないけれども、『森のニワトリ』は、卵を産むことだけではなくいろんなことができるんじゃないか。僕も森のニワトリのようになりたいんだ」そう語りました。

ちょっと無謀すぎる考えかもしれませんが、私たちにとってはすごく自然な流れでした。大学で働くのは地位も経済的安定もあり、学生たちもすごくいい子たちで面白かったのですが、私自身も組織を離れて自由にやりたい、と思うようになっていました。そして、二人とも大学を辞めてフリーランスになりました。

辞める決断をする前に自己分析をしてみたとき、3つの点が一致したな、と感じました。それは、1)自分がやって楽しいこと、2)自分がやれる能力があること、3)相手から求められていることの3つです。これらが揃ったと感じたので、辞める勇気が出てきました。

タイ語が使えて、かつタイ仏教について日本に情報発信ができる人材は、多くはありません。そういう意味での情報は貴重ですし、何よりパイサーン師のお話が本当に面白くて、日本の方に伝えることが楽しくてしょうがなかったんですね。たくさんの説法を訳していますが、今でも本当に楽しいです。

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