働く者を幸せにする経営

西島株式会社 「〝生涯現役〟で、人と企業を幸せにする経営」①

編著=前野隆司 取材・文=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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今回の「働く者を幸せにする経営」は、
愛知県豊橋市の専用工作機メーカー・西島株式会社を紹介する。

この会社には、定年がない。
社員は自分の引き際を自分で決められるのだ。
熟練した技術を持つ人こそ“宝”――西島豊(にしじま ゆたか)社長の思いを聞いた。

昭和の町工場に見つけた、21世紀の製造業経営のあり方

西島株式会社は創業95年。4代目社長の西島豊氏

発動機製造から始まった、知る人ぞ知る専用工作機メーカー

工作機械の中にコンピューターを組み込むことでその機械を自動制御する技術のことをNCと言い、ものづくり大国・日本の屋台骨を支えるものとなっている。
愛知県のJR豊川駅から車で15分。東名高速道路からも柿畑越しに社屋を目にすることができる西島株式会社は、そんなNC工作機械のオーダーメイド生産、すなわち専用工作機製造に特化していることで知られるメーカーだ。

〝オーダーメイド生産された工作機〟とは、どういうものか?
たとえば自動車メーカーが、新型車の販売を決めたとしよう。
ボディやエンジン、その他の内蔵機関にも、生産にはそれぞれ専用の製造ラインが必要となる。ライン上に、エンジンならエンジン向けにNC制御され、さまざまな部品の加工を工作機みずからが工具を交換しつつ、自動で行ってくれるシステム(ATCシステム)が搭載された工作機械を用意するのだ。専用工作機とはこの際に、メーカーの必要や要望に応じて構成そのものから設計され、組み立てられたそのライン専用の工作機械のことをいう。

ATCシステムを搭載した汎用型の工作機はマシニングセンターと呼ばれ、時にはこうしたものに改良を加えて利用される場合もあるものの、西島の中核はあくまでもオーダーメイド生産。その技術力は高く評価され、国内自動車メーカーすべてに納品という実績を持つほか、ヨーロッパのものづくり大国・ドイツ政府の首脳陣も、来日の際にはわざわざ同社まで足を運び、視察した。
この世界的にも評価の高い技術を支えているものこそ、実は〝定年なし 引退時期は自分で決める〟という勤務制度であるという。

そもそも西島は、1924(大正13)年に創業者・西島吉三郎氏により、耕運機などの発動機を製造する『西島鐵工所』として創業した。戦争を経た1945(昭和20)年には、『豊橋工倶西島鐵工所』に改称している。

創業者が開発した発動機。国内はもとより、東南アジアなどへも多数輸出されていた

4代目社長の西島豊氏が言う。
「戦後になってまた発動機メーカーに戻ろうとしましたが、その頃にはもう需要がなく、経験を活かして工具メーカーとなろうと考えました。
それで量産のための生産ラインを整備しようと設備を作り始めたら、当初の目的の工具よりも、工具を作るための旋盤機や工作機などのほうに注目が集まったのです。これが、当社が専用工作機メーカーとなる基盤となりました」

現在ではマシニングセンターも製造しているが、前述の通り、主力はあくまで専用機。世界中の生産現場で使用されているNC技術のすべてを有しているほか、昨今では多角化も推進、医療関係や環境ビジネスにも進出している。
一般的な知名度は低くても、生産の現場では、極めて著名な存在。
それが西島なのだ。

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