働く者を幸せにする経営

石坂産業株式会社 「徹底した〝見られる化〟で実現させた大逆転経営」①

編著=前野隆司 取材・文=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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今回の「働く者を幸せにする経営」は、
埼玉県入間郡の産業廃棄物処理会社・石坂産業株式会社を紹介する。
会社の危機的状況の中、父の跡を継いで社長となった石坂典子さんは、
社員の意識変革を実現し、見事なV字回復を果たした。

石坂産業株式会社社長・石坂典子さん

産廃会社が作り上げた日本の原風景・里山の自然

東武東上線ふじみ野駅で下車し、駅前のコンコースでタクシーに乗車する。
スーパーやコンビニ、ファストフード店などが立ち並ぶ駅前を通り抜け、南西方面に15分も走ると、畑や雑木林が目に見えて増え始め、風景は徐々に里山の風情を帯び始めていく。

埼玉県越谷市、所沢市、狭山市、そして三芳町の三市一町にまたがる『くぬぎ山地区』は、その名の通り、クヌギやナラなどの落葉樹が生い茂る地区。もともとは江戸時代、五代将軍徳川綱吉に仕え、川越藩主としてこの地を治めた柳沢吉保(1659~1714年)が、農民たちに植林させることで水を確保して畑作地とし、人と自然が共存して暮らす里山として開墾した地であったという。

現在ここに、東京ドームおよそ4個分にあたる17万8000㎡、坪数にして5.4万坪もの規模で広がるのが、『三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)』だ。

里山を再現して『くぬぎの森』と命名、1300種以上の動植物が生育する中、農業体験から足湯、アスレチックやミニSL乗車まで楽しめる、環境教育のためのフィールドである。アトラクションより古き良き里山の風情を楽しみたいという向きには、鎮守の森もあれば古民具を展示した資料館も用意されている。

土の香りや鳥の声、葉ずれの音を楽しみながら森を散歩できる

三富今昔村のマップ。カフェや足湯コーナー、ピザ焼き体験、クラフト工房も。

東武東上線「ふじみ野」駅、西武新宿線「新所沢」駅から、無料の送迎バスが出ている

石坂ファームでは、野菜の収穫体験ができる

こんな三富今昔村にやってくる人びとは、環境保護団体や海外からの視察団、環境授業の子ども達まで年間およそ3万人(2017年実績)。
だが、日本の原風景ともいえる里山に触れられるこの場所も、かつては見るも無惨な状態であったという。里山は人工林。人が手を入れ、保全しなければ雑草が生い茂り、果ては絶好の不法投棄場にされてしまうのだ。
それをかつての美しい姿に再生し、保ち続けている功労者は、なんと産業廃棄物処理会社であるという。

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