目からウロコの仕事力

仕事で新しいことに挑戦し実現させるために──六波羅蜜の実践

中央学術研究所客員研究員 佐藤武男
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「六波羅蜜」の六つの徳

「六波羅蜜」を仕事の上でどう活かすか整理してみましょう。六波羅蜜は人さまへの利他行であり、菩薩行です。

「精進」は、ビジョンや目標に向かって粘り強く勤勉に働く行動力。「継続は力なり」で仕事に集中し、課題を克服していくと本質が見えてきます。継続は反復ではなく、今日よりは明日へと改善工夫をしていくことです。どんな仕事でも目的意識を持って3年続ければ道は開けてくるもの。その中で心も磨かれるのです。継続という精進を積み重ねていけば、平凡は非凡に変わります。

「智慧」は非常に重要で、正しいものを見分ける力であり、創意工夫して新しい価値を生み出す力、人々が困っているものに気づく力、修羅場で逃げない責任感です。責任を持つことは勇気を持つことで、自分の判断が間違っていたら謝る勇気と見栄にとらわれずに素早く対応する勇気が大切です。

「布施」は、他部署に役に立つ情報を進んで提供することや、働いて得た給料からの寄付、感謝と慈悲での社会奉仕などがあります。同僚や会社の人にいつも明るい笑顔で接し、良い影響を与えることも布施です。

「持戒」は、仏さまからの戒めによって自分の心の迷いを去ることで、奢侈(しゃし)を戒め合理的な経営や仕事をすることです。仕事の世界でも公私混同のような我欲、パワハラになるような怒り、他人の昇進や評価への嫉妬は自分の心を貧しくします。従って自分の心を制御できない人に部下の管理はできません。

「忍辱」は、たとえ仕事を認めてくれない上司がいても怒らず耐え、その人の良い点を見いだし、仏性を礼拝して寛容の心で良い人間関係を作る力です。逃げずに相手の背景や考え方を深く知ると心に余裕ができ、抑制と寛容の心になることができます。

「禅定」は、静かで不動の心であり、仕事につきものの突発事項やトラブルにも慌てず冷静に対処し、業績の波に一喜一憂せず、堅実な仕事をする心です。厳しい競争の中では、ともすれば不安に揺れ動く心を静め精神を集中し自分を内省しましょう。一日一回は心を静め自分を見つめ直し、明日への英気を養って仕事への糧としたいものです。

中央学術研究所客員研究員
佐藤武男(さとう たけお)
1954年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、三菱銀行に入行。香港や米国などの海外勤務を経て、三菱東京UFJ銀行外為事務部長を務める。また、貿易電子化諮問委員会の日本代表を6年間務めた。中央学術研究所客員研究員。現在はグローブシップ株式会社常務取締役管理本部長。
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