悩み相談

「こどもを失う不安に悩んでいます」 答える人:プラユキ・ナラテボー

プラユキ・ナラテボー
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【編集部注】「仏教的カウンセリング」では当ダーナネット編集部が公募した「悩み相談」に解答をしていただいております。ご相談者の許可のもと編集の上で掲載しています。ご本人の希望で名前は匿名とさせていただきます。
「二女を妊娠9ヶ月のときにお腹の中で亡くしました。突然で原因不明でした」
「その後長男が生まれ、長女と二人、元気に育っています。苦しい時期に初期仏教に出会い、救われました。でもこどもが病気をした時に最悪の経過を考えたり、寝ている時にふと呼吸していない気がして不安になります」
「執着しないことを心がけてはいるのですが……。こどもを失う不安に対して、どういう心構えでいることが一番いい道でしょうか」

質問者:匿名希望

「『まだ来ぬ未来を思い煩うことなく、今ここでなすべきことを熱心にせよ』
とお釈迦さまはおっしゃいました」by ナラテボー

作画・鈴木勝美(ざぼん)

出産を間近に、突然のお腹の中のお子さんの死、さぞかしお辛かったことでしょう。しかし、そうした苦しい時期に初期仏教に出会って救われたとのこと、本当によかったです。

お釈迦さまは「ドゥッカ(苦)」をお悟りになりました。「ドゥッカ」とは、「思うようにならないこと」を意味します。仏教に出会って、人生には自分の力ではどうしようもできないことが起こるんだという事実に、あなたが真正面に向き合い、受け入れられたことが、救いにつながったのではないかと思います。

ところで、その後長男さんが無事に生まれ、長女と二人、元気に育っているにもかかわらず、「病気をした時に最悪の経過を考えたり、寝ている時にふと呼吸していない気がして不安になる」とのこと。たしかに過去の辛い出来事の影響もありますから、そうした不安に駆られてしまうのも無理からぬことかもしれませんね。

しかし、よく考えてみてください。それは今ここの事実ではありません。まだ来ぬ未来についての不安ストーリー作りという心のアクションを作動させているにすぎません。そしてそれは同時に、今ここに心あらずで、目の前にいるお子さんたちを放りっぱなしの状態にしてしまっているのですよ。

子どもたちにとって頼りにすべきお母さんが、始終そうした未来の不安にハマり込んで、自分たちのことはそっちのけでそわそわしていたら、子どもたちは幸せでしょうか。きっと寂しい思いを募らせることになったり、子どもたちにまでそうした不安感が伝染してしまうのではないでしょうか。

「まだ来ぬ未来を思い煩うことなく、今ここでなすべきことを熱心にせよ」とお釈迦さまはおっしゃいました。心を未来にさまよわせ、今ここをおろそかにしてしまうことを戒めた言葉です。子どもたちは今ここを生き、お母さんとの触れ合いや楽しい会話を求めています。そんな子どもたちとの交流を、どうぞ今ここで心ゆくまで楽しんでみてください。きっとそれにより、あなた自身の不安思考のクセも解消していくことでしょう。

ただ、そうは言っても、いつもの癖で未来の不安ストーリー作りが始まってしまうこともあるかもしれませんね。そんなときこそ手動瞑想。少しトレーニングするだけで、その後は手をパッと意識するだけで、未来にさまよっていた心をパッといまここに戻すことができるようになりますよ。手動瞑想の詳しいやり方については、どうぞこちらの動画をご参考ください。応援しています!

手動瞑想【実践ビデオ】
https://www.dananet.jp/?p=6263

プラユキ・ナラテボー

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プラユキ・ナラテボー
1962年、埼玉県生まれ。上智大学哲学科卒業。大学在学中よりボランティアやNGO活動に深く関わる。
タイのチュラロンコン大学大学院に留学し、農村開発におけるタイ僧侶の役割を研究。1988年、瞑想指導者として有名なルアンポー・カムキアン師のもとにて出家。以後、自身の修行のかたわら、村人のために物心両面の幸せをめざす開発僧として活動。またブッダの教えをベースにした心理療法的アプローチにも取り組み、医師や看護師、理学療養士など医療従事者のためのリトリート(瞑想合宿)がスカトー寺で定期的に開催されている。
近年は、心や身体に問題を抱えた人や、自己を見つめたいとスカトー寺を訪れる日本人も増え、ブッダの教えをもとにしたサポートを行っている。日本にも毎年招かれ、各地の大学や寺院での講演、ワークショップから、有志による瞑想会まで、盛況のうちに開催されている。

プラユキ・ナラテボー師 よき縁ネット https://blog.goo.ne.jp/yokienn
〈書籍情報〉
「気づきの瞑想」を生きる タイで出家した日本人僧の物語
著者:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,800円+税
発行日:2009年8月
〈書籍情報〉
「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方
著者:カンポン・トーンブンヌム
監訳:プラユキ・ナラテボー
出版社:佼成出版社
定価:本体1,400円+税
発行日:2007年11月
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