元ホームレス社長の運とご縁の引き寄せ方

元ホームレス社長の運とご縁の引き寄せ方(22)

岸田昌幸(中小企業再生支援コンサルタント・学習塾オーナー&塾長)
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会社経営者だった岸田さんは
多額の持ち逃げに遭い、会社は倒産。
伴侶にも逃げられ、ホームレス生活を送り、
自殺一歩手前まで追い詰められたといいます。
現在は悩める経営者の支援と社会貢献に生きがいを見出す岸田さんが、
ホームレス生活から立ち直るまでと
「運とご縁の引き寄せ方」を赤裸々に語っていきます――。

ホームレスにならずに済んでいたかも

画像・AdobeStock

持ち逃げ詐欺で全てを失い、今度は、株券詐欺で再起のために貯めた財産を失った私ですが、その時々に寄りそってくれるような相手がいれば、ここまで失うものは多くなかったでしょう。ホームレスにならずに済んでいたかもしれません。私は、身近にそのような相手がいなくて、一人で考え、行動していました。

ホームレスになった当初、なぜ、自分だけがという思いが強くありました。人を憎むこともありました。しかし、それは、自分自身が持って生まれた“すぐに人を信用する”というお人好しの性格が悪い面で出たのでしょう。「そんな性格なのに、よく今まで騙されずに会社経営してこられたな」と陰口をたたく人もいました。それは本当に悔しい思いをしました。

「人の不幸は蜜の味」と世間では言われています。しかし、本当に助けを必要としている人に、寄り添うのが本来の人間らしさではないでしょうか。ホームレス時代、お腹を空かせていた私に食べ物を分けてくれたホームレス仲間の有り難さを痛感します。不遇な身であっても他人の私に仲間意識を持って助けの手を差し伸べようとしてくれたのですから。

詐欺にあってから、私の心は次第に病んでいきました。自分が自分でないような心の状態でした。眠れない、食べられない、フラフラする、一瞬、意識が無くなる・・・。自分でも訳が分からず、病院に行ったところ、極度のパニック障害とうつ病と診断されました。医師から「次回は身内の人と一緒に来てください」と言われましたが、私には身内がいません。それを先生に告げると、「一人では回復が難しい病気なので困ったなぁ」と言われました。
私は返す言葉がありませんでした。

医師に今までの経過を正直に全て話すと、こう言われたのです。「今までよく生きてこられましたね。これだけのことがあったら、自分で命を絶っていてもおかしくないですよ」。その時、今まで自分は本当に頑張ってきたのだと涙があふれました。

(次週に続く)

岸田昌幸(きしだ まさゆき)
大阪府生まれ。大学卒業後、広告代理店に就職。その3年後、独立しデザイナーとして起業。その後、事業拡大に伴い、法人化し、広告代理業、店舗・モデルハウス・展示会等、プロデュース部門を立ち上げる。大阪本社・東京支社・北米カナダ支社を設立。23年間、経営者として事業展開。しかし、会社で多額な持ち逃げ詐欺に遭い、全てを失いホームレス生活に。そこから這い上がり、自分のように苦しんでいる人を助けたいという思いから、自らが積み重ねた経営者の経験を活かし、中小企業再生支援コンサルタントとして活動。業種・業態を問わず、講演会・クライアントへの指導を通じて、成功に導くための方法論を体系化し、成果を上げている。2018年には日本の教育の向上と地元への貢献を考え、小・中学生対象の学習塾を開校。モットーは、「日本を元気に!」
岸田さんのブログ
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