インタビュー

前野隆司さんインタビュー③ たった一人でも、幸せ企業を作ることができる

聞き手=千羽ひとみ(フリーランスライター)
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自信と実力を育てよう

──一般社員も経営者も、相手の立場になって見ることが大切なわけですね。では、残念ながら職場がブラックだとか、周囲に味方がいない場合に、一人でもできることはありますか?

なかなか難しい質問ですが、まずは楽観的になることでしょうか。「ブラック企業に入社してしまったが、すべては試練。自分を磨く機会になる」と発想を転換することだと思います。
実はブラック企業で成果を出せる人って、社長に媚びを売って出世する人を除けば、こうしたタイプの人なんです。

具体的には、ワンマン社長に要所要所で「最近、ちょっとやりすぎじゃないですか?」なんて意見することが出来、社員からは頼りにされ、社長からは疎まれながらも無視出来ないでいるような人物です。これは実は「会社をいつやめてもいい」という覚悟があるから出来ること。さらにいうと、やめてもやっていけると、自分に自信がある人です。
そしてワンマンな社長って、実は気骨がある人が大好きで、こうした人材を待っている節もある。「なかなか骨のあるヤツだ」「お前、考えがはっきりしていていいな」というふうに。

ですからワンマン社長の場合、怖がらずに飛び込んでいったほうがいい場合があります。社員が怖がって誰も近づいてこないから、飛び込んでこられると逆に弱い。あえて飛び込むことで腹心になり、会社を『幸せ企業』に変えていくことも出来ると思います。

そしてそのためには、自分の中に「会社をやめても大丈夫」という自信と実力を持つことです。
社員それぞれが「Strength(強さ)」や「Competence(競争力)」を持つことは、幸せにおおいに影響することだと思います。もちろんそのためには、コツコツと努力することが欠かせません。

──「実力と自信を持つことが幸せにつながる」「実力をつけるにはコツコツ努力することが必要」とは、うなずけるご意見です。ですが、コツコツと努力するのが難しい。そんな場合はどうしたらいいでしょうか?

いますね、こういう人(笑)。『人生がときめく片づけの魔法』の著者・こんまりさん(近藤麻理恵さん)の片づけ術ではありませんが、どうしてもときめかないなら、その仕事は捨てて、どんな仕事にときめくかを探すことではないでしょうか。

なににときめくかはやってみないとわかりませんが、なにをしてもときめかない人は、疲れすぎているんです。疲れすぎるといろいろやってみるパワーもでませんから、疲れすぎる前にいろいろやってみることが大事です。余裕がないと疲れます。疲れると、強みを磨く余裕も持てない。

「社員なんかいくらでもいる」「だから不幸なままで十分」そんなブラック企業も確かにあります。でもそんな企業に、残る価値がありますか? 人生を捧げる価値がありますか? 日本人は仕事を生真面目に考え過ぎ。もしもこうした企業にお勤めだったら、とっとと転職したほうがいいと思います。

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