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2019年「つながり(Connectedness)」Zen 2.0レポート(2)

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9月21日と22日の両日、禅とマインドフルネスについての日本初の大規模な国際フォーラム〝Zen 2.0〟 第3回が、日本の「禅」発祥の地、鎌倉五山第一の建長寺において開催されました。その内容を紹介していきます。

自然とのつながりを重視するアイリッシュとしてのルーツと禅の関係についてはなすシスター・キャサリンさん

「沈黙の中のつながり」

キャサリン・レイリー:カトリック・メリノール宣教会のシスター。ネグレクトされる子供達、アルコール依存症、日雇い労働者のサポートに取り組む。現在は国立がん研究センター中央病院の小児科でカウンセラーに従事。東京とドイツ・ミュンヘンのクリスチャン禅堂で接心を主宰。

*  *  *

1968年、カトリック・メリノール宣教会のシスターとしてキャサリン・レイリーさんは、24歳の時に初来日。翌年、不思議なご縁で、(神奈川県鎌倉市)長谷にある小さな禅堂、三宝禅を訪れます。上智大学で東洋史を学び、禅が日本の文化に深い影響を与えていることに気づきます。

「坐禅になじんだら、少し日本人の心がわかるかなと考えて、好奇心半分で三宝禅堂にお邪魔したんです」と自己紹介。

曹洞宗、臨済宗双方の禅の修行法を取り入れる三宝禅の当時の管長は山田耕雲老師。出会ってすぐに老師はキャサリンさんに仰られたそうです。

「キャサリン。心配しないでください。あなたはカトリックの修道女ですけど、坐禅に色はない。どんな人間でも坐れば坐るほど良い人間になるはずです」。

「それから50年になりますけど、感謝の心を持って参禅しているんです」とキャサリンさんは語ります。

アメリカに生まれて主に西洋的な教育を受けてきたキャサリンさんにとって、なぜ坐禅が恵みとなったのでしょうか。スティーブン・マーフィ重松教授を引き合いに出し、キャサリンさんは自身アイリッシュ系のルーツを持つアメリカ人であると説明します。

「アイルランド人はすごく大自然と繋がりを深く感じます。そしてその感覚は今でも私のDNAに流れているんです」。

大自然は時として災害を起こします。台風15号(ファクサイ)が9月9日三浦半島を通過して千葉県に甚大な被害をもたらしました。鎌倉でも土砂崩れや倒木などの被害が報告されています。

鎌倉にある神道神社、仏教諸派、カトリック、プロテスタントの教会は、2011年3月11日の「東日本大震災」から8年間、「鎌倉宗教者会議(Pray Kamakura:http://www.praykamakura.org/)」を組織し、毎年、慰霊と復興の祈りの集いを開催しています。キャサリンさんも例年の参加者の一人です。

「いろいろな仏教の宗派や神道の神主さんたちとの交流でものすごくみんながつながっていると感じました。心が一つになり、おたがいさま、助け合いの心を分かち合いました。せっかくこの地球に生まれてきているんです。私たちの家として、この地球しかないんです。我々が協力しないと未来の子ども達はどのような将来を受け取ることになるのかしら?」

折しも、前日(9月20日)は、世界各国で「グローバル気候マーチ(Global Climate Strike)」が行なわれ、世界160ヶ国で400万人以上の若い世代の人たちが参加しました。近年、日本各地は大きな自然災害にたびたび見舞われています。

「日本人が心を一つにして、地球という我々のこの世界、我々の宇宙を守りましょう。再生のためには、まず自分の心が静かになって落ち着くことが必要です。でも、自分だけのために坐禅してはいけません。坐禅をすればするほど宇宙全体が清くなる。慈悲の心により、人の苦しみが自分の苦しみに。人の喜びが自分の喜びになるんです。そのようなパワーがあるのです」と坐禅の効用を説かれるキャサリンさん。

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